科用ドレープ両眼用

"ドレープとは、手術などの医療行為の時に患者にかける布のことです。状態・目的に応じて、撥水加工や吸水加工したものがあります。「科用ドレープ両眼用」とは、眼科で白内障や緑内障などの手術の時に使われるもので、現在では主にレーシック(レーザーなどによる角膜屈折矯正手術)に使用されます。
 
レーシックは、両目を周囲も含めて消毒し、点眼麻酔、専用のナイフで角膜の表面を削り、レーザーをあてていく、という手術なので、現在使われている科用ドレープ両眼用の布は、吸水性があるために、液体や汚れが付着せず、糊がついているので、両目の部分もずれにくく、目の穴が開いている部分も形が工夫されているので、手術行為がしやすくなっています。フィット感・使用感・覆う範囲・素材に様々な工夫がなされている優れた手術用具です。"

眼内レンズ

"眼内レンズとは、主に白内障手術で水晶体を摘出した時に挿入される人工の水晶体のことを言います。
近視矯正の目的で、有水晶体で挿入する眼内レンズも存在しています。
 
眼内レンズの度数調整は、患者の年齢、視力、ライフスタイルに寄って選ぶようになります。
また、片目だけの手術の際には、手術をしていない目の視力に合わせて、調整もされます。
 
素材は、主にアクリル素材で出来ているものが多く、シリコン素材では手術中にガス注入を行う時に、曇りを生じさせ手術操作が困難になる可能性があるためです。
 
このレンズのおかげで、白内障治療では広く用いられており、手術成績も高く、特にかすみや白濁を除去し、視力の改善が叶うようになりました。"

開瞼器

"開瞼器(かいけんき)とは、眼の診断や治療で使われる医療器具で、瞼を開いた状態のまま固定する為に用いられます。
 
レーシック手術でも、手術中開瞼器がセットされ、目を大きく見開いた状態でレーザーを当てられることになります。
 
バネ式プレートタイプでまつ毛や不潔部位を広範囲をプレートで覆うことができるワイヤープレート型は、外来小手術、外来における硝子体注射の開瞼にも役立ちます。
 
下開瞼を圧平するこで視認性に優れている永田式、糸やシリコンなど、術者の好みで固定できる林式ワイヤータイプ、バラッケータイプ、ワイヤーオープン型、江口氏式、深作氏式、大島式など、サイズやデザインなど複数タイプが存在し、値段にも差があります。
 
 
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過矯正

"レーシック手術で必要以上に視力を矯正してしまうことを、過矯正と言い失敗の部類に含まれます。
 
理想的な視力は1.5〜2.0だと言われますが、視力が高く見えすぎてしまうと近くが見えにくくなる弊害が起こりやすくなります。広大な自然の中に住んでいる方なら遠方の動物を発見するのに役立つかも知れませんが、都会で暮らしている分には遥か彼方を見渡す機会もあまりありませんし、普段は近くのものが見えなければならない状況です。
 
従って術後過矯正で視力が良くなりすぎてしまうと、近くを見る時水晶体を厚くする影響で毛様対筋を酷使する羽目になり、緊張状態が続くことで眼精疲労も引き起こされやすく、結果的に視力低下の原因になります。"

角膜

"人間の眼球の大部分は、強膜と呼ばれる白く厚い膜で覆われており、これが、白目の部分となります。
 
一方、眼球の中央部は、少し出っ張った透明な膜によって覆われています。これが角膜です。この膜は透明であるので、向こう側にある組織が見えるようになっています。この部分は日本人では黒くなっており、黒目として認識されます。
 
この角膜は、内部の眼球や水晶体などを保護するバリアとしての役割と、目の内部に酸素を取り込む役割とがあります。さらに、光を集光する光学レンズとしての役割もあります。
 
角膜は、最も表面にあるために傷つきやすいです。例えば、コンタクトレンズを逆に装着することによって傷つくことがあります。修復速度が速いため、傷がついてもすぐに治るのですが、治るまでに細菌が傷に入り込むことがありますので注意です。"

角膜厚測定

"角膜厚測定はレーシック手術に必要な作業で、医療機器のパキメーターを使って角膜の厚みを測ることです。
 
プロ―ブと呼ばれるペン状のパーツが付いているパキメーターを軽く角膜にあて、超音波を使用してミクロン単位まで角膜の厚みを測定します。角膜厚測定では角膜中央部など3点が測定されますが、1~2分程度しかかかりませんし、痛みを感じないよう点眼薬による局所麻酔を打っているので痛みに弱い方でも安心です。
 
レーシック手術で視力矯正治療を行う時は、レーザーで角膜を削った後、0.4ミリ以上角膜を残し術後も角膜の強度を維持しなければなりません。
ですから角膜厚測定によって角膜の厚みが十分にないことが判明した場合、手術を受けることはできません。"

角膜移植

"角膜移植とは、亡くなった方の健康な角膜を病気や傷害のある角膜と取り替えます。手術時間は、20分から40分程度で完了します。そのため、入院することなく日帰りが可能です。
 
移植手術が必要になるのは、角膜が遺伝的疾患や外傷、感染症などにより変形や変性、透明性を失ったことにより目のフィルムである網膜上に像を結ぶことができなくなった場合に行われます。
 
角膜移植には、大きくわけて2通りの方法があります。編成や混濁が浅い場合には、患者自身の角膜の表層を交換しますが、全体が濁っていたり編成をお越している場合には、全体を入れ替える移植手術を行います。
 
移植後のケアは大切なため、最初の1週間は毎日通院し、術後の経過により少しずつ間隔をあけて診察を受けます。"

角膜エクタジア

"角膜エクタジアはレーシック手術など屈折矯正手術に伴う合併症の1つで、角膜が突出してくる症状の為に乱視状態が引き起こされ、一気に視力が低下する病気です。
 
ケラトエクタジア、角膜拡張症と呼ばれることもありますが、適切な治療を施さずに放置した結果、失明に近い状態にまで陥ってしまう可能性がある為、油断できない合併症です。
 
まだまだ分からないことも多い病気ですが、世界では大体5000分の1の割合で発症し、日本では現時点で10000分の1程度の発症率とされています。
 
ごく稀にしか発症しない珍しい合併症ですが、治療方法が確立されていない為、発見の遅れで完治が難しくなると考えられています。
今のところコラーゲン・クロスリンキングが角膜エクタジアの最も効果的な治療方法とされています。"

角膜実質層

"角膜実質層は、角膜上皮層、ボーマン膜、デスメ膜、角膜内皮層で構成される角膜の真ん中の層です。厚みはおよそ0.4ミリから0.5ミリ前後ですが、角膜の厚みの約9割を占める主要部分で、コラーゲン繊維とタンパク質が主成分になります。
 
角膜実質層には外部から差し込む光を屈折させる重要な働きがありますが、ほとんど再生能力がない為、万が一なんらかの理由で損傷してしまった場合、視力に重要な影響が及ぶことを覚悟しなければなりません。
 
角膜の厚みによってレーシック手術を受けられるかどうか決まると言われていますが、実際は角膜実質層の厚みによって手術の可否が決定されます。
 
レーシック手術では実質層をレーザーで削る為、この部分が薄すぎると矯正の余裕がなくなります。"

角膜上皮

"角膜上皮は眼球の正面に見える黒目部分を覆っている、透明な角膜の一部で、一番表面に存在している為常に外気にさらされている状態です。
 
角膜上皮、角膜実質、角膜内皮と3層で構成されている角膜は、外傷や病気が原因で透明性が失われたり形状が変化すると視覚障害を引き起こし、強烈な痛みを伴うのが特徴です。
 
角膜上皮の役割は、外界から角膜を守るバリア機能、それに酸素を取り入れる働きもあります。角膜炎、角膜びらんなどの障害が引き起こされ、症状が進行すると涙が止まらなくなったり充血、目やに、痛み、角膜が部分的に白く混濁するような症状が現れ、重症になると角膜潰瘍や角膜穿孔など実質や内皮層まで悪影響が及ぶ可能性があります。"